EXCITING TALK 02ウイルス対策の常識を変えたZERO

TALK MEMBER

  • 藤本 類

    製品企画/マネージャー
    2004年4月入社
    (現:ポケトーク株式会社所属)

    プロジェクトにおける役割
    製品企画担当として
    発売前後の全体調整

  • 田岡 通子

    経営企画室/常務執行役員
    2003年4月入社

    プロジェクトにおける役割
    ECサイト担当として販売準備
    および既存ユーザーに対する
    施策立案

  • 小嶋 智彰

    代表取締役社長 兼 COO
    2001年9月入社

    プロジェクトにおける役割
    経営企画室として戦略立案

  • 近藤 祐子

    営業/企画営業スペシャリスト
    1996年8月入社
    (現:ポケトーク株式会社所属)

    プロジェクトにおける役割
    広報担当としての広報活動

  • 鵜木 健

    製品開発/チーフ
    2004年1月入社

    プロジェクトにおける役割
    「年間更新料0円」での製品開発

インタビュー当時の所属・役割を記載しています。

PROJECT STORY

プロローグ

2003年に、ソースネクストは、PCソフトのほぼ全製品を1,980円で販売しはじめた。社内ではコモディティ化戦略と呼んでいた、マーケティング戦略である。当時この価格は破格である。なぜ、そんなことができたのか。例えば、1万円の売上を上げるのに大まかに2つの方向がある。1万円の価格で1人に売るか、2,000円の価格で5人に売るかである。当時、パソコンソフトはまだ高価で、前者の価格戦略を取るメーカーがほとんどだった。その中でソースネクストは後者を選択。この時の目玉とも言える製品の1つが、ウイルス対策ソフトだった。価格は1年=1,980円、ZEROの前身である。この戦略を実行できたのは、ソースネクストがすでに多分野の数多くの製品を扱っていたからだ。自社開発で単一製品のメーカーでは、そんな冒険はできない。

一方、お客様から見れば、これまで関心があっても購入に至らなかった製品を気軽に買えるようになり、多彩な製品を擁するソースネクストの売上は跳ね上がった。価格×本数を最大化させる価格をいくらにするのか、綿密な計算と実験で割り出した確信に満ちたプライシングが1,980円だった。1,980円の価格に合わせて、製品の品質を下げるのではない。実際これまで5,000円~1万円の価格で売っていた製品である。1,980円で買えるバリューが格段にアップし満足度が上がった。これにより「ソフト◎プライス1,980円」として、その年の日経優秀製品・サービス賞「優秀賞」を受賞し、一気に販売本数第1位を獲得した。ソースネクストに、高品質・低価格のビジネスモデルが一気に確立された。

鳴動

そのわずか3年後、1年=1,980円という安価な「ウイルスセキリュティ」を更新料0円にするプロジェクトが動き出す。綿密な収支計画をはじめプロジェクト全体の指揮を執ったのは小嶋。コモデティティ化戦略で市場を広げた田岡は、ECに移り既存ユーザーからの切り替え役だ。製品内の導線をはじめ開発には、セキュリティ製品のエキスパートとなりつつあった鵜木が、世間に知らしめていく役割は、広報での経験が長い近藤が、全体の調整やプロジェクトの進行役を藤本が担当した。

極秘裏に進めることが成功の鍵

田岡
当時、セキュリティソフトは競合会社がとても強いジャンルで、更新料無料という、業界の常識を覆す新しい挑戦は絶対に漏れてはいけない情報でした。そのため、社内ですら非開示の社長直轄プロジェクトとしてスタートし、席で気軽に話すようなことはNGでしたし、やりとりはほとんどメールでした。
藤本
ちょっとした打ち合わせもわざわざ会議室でやったり。おおっぴらにできないから、とにかくやりづらかったです!
田岡
やりづらかったですよね(笑)メンバー全員そう思ってたんじゃないですか?私は、困ったときに(プロジェクトに無関係な)自部署の先輩や上司にも相談できないことが一番困りました。プロジェクト関係者には相談もできたけど、最終的には自分で決めるしかなくて…。
鵜木
最初のうちはメンバーも少なかったからよかったですけど、人が増えるにつれてコミュニケーションを取るのがどんどん大変になりましたよね。
近藤
そうそう、生産開始のタイミングで一気に増えたような。もうすぐ発売だ!って感覚が、すごい楽しかったです。

発売後の社員の声は「これ、大丈夫なんですか!?」

近藤
実は社内の反応ってイマイチだったんです。「これ、大丈夫なんですか」っていう反応。「あれーっ!?」って思っちゃいました(笑)
田岡
わかる!記者発表があった日の朝でしたっけ、あのとき初めてみんな知ったんですよね、「ウイルスセキュリティZERO」のこと。年間更新料0円なんて常識じゃ考えられないことだから、そりゃ不安にもなりますよね。
小嶋
でも、社外の反応はすごかったですよね。メディアにバンバン取り上げられるようになって。やっぱり、「年間更新料0円」ってすごいんだなって、自分たちはすごいことを成し遂げたんだなって実感が湧きました。秘密にしてただけに、そのとき感じたやりがいも大きかったですよ。

業界常識を打破

鵜木
メディアに注目された理由は、すでに何度も出てきてますが、「年間更新料0円」だったことが1番の理由でしょう。しかも、だからといってその分購入時の価格がものすごく高くなったかというと、そういうわけでもない。だから当時、非常に注目されました。
近藤
そうですよね。ソフトそのものの価格が高かったら「なんだ。単に年間更新料を取らない分、初回購入費を高くしたんだ」って全然話題にならなかったかも。
小嶋
あと、年間更新料の支払いが不要になったことで、年間更新手続きそのものもなくなりました。手間が減り、面倒がなくなったと思います。
鵜木
当時、更新手続きそのものをなくすことで、ウイルス対策ソフトのアップデートをしない人が減ると予測していました。その辺りも注目されたんじゃないですかね。
田岡
皆さんも言っていますが、当時「ウイルスセキュリティZERO」は、従来のウイルス対策ソフト業界の常識だった、年間課金モデルからの脱却、更新手続きの廃止を目指していたんです。常識をくつがえしたところが注目されていると感じていました。

使い勝手のいい商品へ

小嶋
実は従来の年間課金モデルを廃止しても採算がとれるか、すごく細かく事前に計算したんです。その結果、年間更新料0円でも、毎年新しい人たちが「ウイルスセキュリティZERO」を買ってくれるのであれば、十分に利益が出るって見込みが立ちましたね。
田岡
更新手続きがなくなったことは、当社にとってもメリットでした。コストが大きく削減できたんです。実は、従来のウイルス対策ソフトの場合「更新手続きが出来ない。更新手続きの方法がわからない。」こういうお問い合わせが非常に多いんですよね。その問い合わせ対応コストを削減できたんです。
藤本
たしかに。わたしの同僚は、毎年親に呼びつけられて、「セキュリティソフトの更新をやってくれ」と言われてた。お客さんの実情は結構ヒントになります。
小嶋
そうそう。そのあたりの要素もシミュレーションしましたね。他には、「ウイルスセキュリティZERO」をお客さんたちに知ってもらうための仕掛けを考えたり。知名度を上げるためにタレントさんを起用したり。正直言うと、実際ちゃんと利益が出るまで、まったく安心できなかったんですけど(笑)。

お客様のニーズに合わせて変化する

小嶋
ウイルスはどんどん新しいものが出てきますから、個人情報を抜かれてしまう脅威は消えません。今はパソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットなどいろいろなデバイスがありますよね。パソコンにはパソコン専用のウイルス対策ソフトを、スマホとタブレットにはまたそれぞれ別の専用ウイルス対策ソフトを入れなければならない。そんな状況も起こりうるのですが、お客さん目線で考えるととても面倒で手間がかかる。ウイルス対策ソフトを買ってしっかり対策をしたいと思った時に、面倒な手間がない。お金も無駄にかからない。だから気軽に買っていただける。そんな製品を提供できるよう、我々は進化していきます。
鵜木
お客さん目線を忘れずに進化できるこの会社で、我々はこれからも働いていきます。進化には若い社員の力も必要でしょう。一緒に楽しく仕事ができるような新入社員がどんどん入ってきてくれたら嬉しいです。

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