想定される各事業への影響(機会とリスク)[2025年度]

当社は、気候変動を重要な経営課題の一つと認識し、2023年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に賛同を表明し、外部専門家を含めたタスクフォースを作り、TCFDフレームワークに基づいた適切な情報開示を実施しております。

想定される各事業への影響

シナリオの定義と特定の実施後に、1.5℃未満に気温上昇を抑える「1.5℃未満シナリオ」と、現在想定されている以外の対策が実行されない「4℃シナリオ」における影響を特定いたしました。
事業への影響については、バリューチェーンマッピングやTCFDフレームワークに規定されたリスク及び機会に沿った洗い出し等、複数の手法により検討し、経営層との議論を経て、取締役会の承認を得ております。

対象期間:現在~2050年
対象事業:全事業(連結)

リスク 事業への影響
1.5℃
移行リスク 政策・法規制リスク ・炭素税導入や法規制の強化による調達コストや物流コストの増加
・再生可能エネルギーの利用による調達コストの上昇
・温室効果ガス(GHG)排出量の報告義務化によるサプライチェーン全体でのデータ収集と報告コスト増加
・既存の製品・サービスに対する法規制強化への対応コストの増加
技術リスク ・既存の製品・サービス(生産工程を含む)を低炭素のものに置き換えることによるコストの増加
市場リスク ・既存製品・サービスの需要減少、市場競争力の低下
評判リスク ・低炭素社会への移行対応遅れによるレピュテーション低下により、顧客からの支持低下
・ESG投資からの資金調達の減少
・企業のレピュテーション低下による従業員からの支持低下(離職増加など)
  4℃
物理リスク 急性リスク ・自然災害に起因するサプライチェーンの寸断による売上の減少
・サプライヤーの持つ製造拠点の移転によるコストの増加
・システム環境の冗長化(バックアップの経路を複数用意しておく必要性が高まる)
・保険料の増加
慢性リスク ・平均気温の上昇により、エネルギーコストが増加することで、コストが上昇
・平均気温の上昇により、労働者への負担が増加することで生産性が低下
・既存製品の需要減少
機会 事業への影響
1.5℃
資源効率  ・サプライチェーンの最適化によるコストの削減
・電気や水の使用量削減によるコストの削減
エネルギー源  ・再生可能エネルギーを使用して製造した製品の需要増加
製品・サービス  ・環境配慮製品(省パッケージ製品、ダウンロード版製品など)の販売増加
市場  ・気候変動対策に関する新規事業参入による収益の増加
レジリエンス  ・再生可能エネルギーの活用による、企業の強靭性の向上
・サプライチェーンの最適化による、様々な条件下での適応能力の向上
・レジリエンス確保に関連する製品の需要増加
  4℃
製品・サービス  ・災害対策製品の需要増加

2023年度のTCFDシナリオ分析はこちら